クリーンカーで攻勢 ヨーロッパメーカー
BMWは、07年、水素エンジンを積んだ車をドイツで発売する。これまで08年までに投入としてきたが、事実上繰り上げ。ガソリンや軽油の代わりに液体水素を燃焼させる水素自動車は、ほとんど水しか排出しない「究極のクリーンカー」と言われる。問題は、水素ステーションを各地に設ける必要があること。ドイツ国内ではまだ6ヶ所しかなく、水素自動車のバスが試験的に走っている程度。このため、当初は、ガソリンでも走れる複合燃料車を発売。車種は「7シリーズ」。
ダイムラークライスラーは、新開発のディーゼルエンジン「ブルーテック」。08年からのEUの環境規制に適合し、燃費も向上するとしている。まず、今年9月に「Eシリーズ」に搭載して、米国で発売し、08年までに欧州市場にも投入。欧州では、ディーゼルはガソリンに比べて燃費がいい点が注目され、「環境にやさしいのはディーゼル」との見方が定着した。今では、新車販売の約5割を占める。
日本でも、「Eクラス」にディーゼル車を投入する。ドイツ自動車工業会会長談、「技術が確立したディーゼルエンジンこそ、もっとも有効なクリーンエンジンというのがドイツメーカーの認識」。
両社がクリーンカー開発を加速するのは、EUの環境規制が今後さらに強化されることに加え、ハイブリッド技術が高級車にも採用され始めたことへの危機感からだ。
C先生:水素エンジンは、自動車自身はクリーンなのだが、どうやって水素を作るかが問題。その際発生する二酸化炭素量を計算すると、ハイブリッドの方が結果的に勝っている結論になるのが普通。水素供給のインフラ整備も進まないだろうから、まあ、「形だけ」だろう。それにしても、液体水素を燃やす自動車が出るとはね。この記者の新発明だろうか。通常は、高圧水素なのだが。
メルセデスのディーゼルだが、ヨーロッパのような走行パターンだと、ハイブリッドのメリットはかなり少ないのも事実。ハイブリッドは、「やはり信号が無い、坂も無い状態」だと、「単に電池が重たい車」になってしまう。逆に、日本のような状態だと、ディーゼルのメリットが出にくいことが問題だろう。ちなみに、現時点では、日本は世界最高のディーゼル排出ガスの規制をもっている。
結論は、やはり、適材適所なのだと思われる。それにしても、日本は信号の数を減らす努力をすべきだ。
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コメント
BMWでは少し前から液体水素自動車を開発しているようです
1999年発行の日経メカニカルNo.54 p.62-p.63に10年後には液体水素自動車の量産化を目指すという記事がありました。
1999年時点でドイツは日本よりも液体水素自動車では10年進んでいるということでした。
またBMWは2001年には液体水素自動車の試乗会を実施し1台1,200万円程度の価格にて販売可能とのことです
ただ、当時は蒸発によるロスは1日3%と多めで駐車場が密閉空間では問題があるだろうとのことでした
投稿: shin1ro | 2006年4月 3日 (月) 08時45分
C先生、始めてコメントさせていただきます。
水素エンジンに関しては、仰られるような供給側の問題(水素製造効率・インフラ整備など)に加え、移動体用途として考えた場合、高圧水素でも液体水素でも体積当のエネルギー密度の低さという問題も未解決ですね。
コレが解決されていない現状では、日本の軽自動車のような買い物車としての用途なら可能性はあるかもしれませんが、長距離を移動する用途が少なからずある場合(アメリカの田舎とか)は、難しいでしょうね。
投稿: 温泉カワセミ | 2006年4月 4日 (火) 01時13分
結局のところ、自動車燃料の脱化石燃料化となると、セルロース分解によるアルコール(+都市部ではハイブリッド)という方向が本命ではないでしょうかね。
燃料電池を使うなら分かりますが、燃やすのだったら水素にこだわる理由はまったく無いように思いますし。
投稿: b-51 | 2006年4月 4日 (火) 14時14分
水素を燃やすと・・・燃やすのであればガソリンやアルコール
に対する優位性が感じられません。イメージのみが突っ走っ
た印象を受けます。都市部の大気汚染には効果はあるかもし
れませんがそれだったらインフラ面からも電気自動車の方が
使いやすいでしょうに。
ディーゼルも適材適所という考えに賛成ですね。日本で消費
されている原油は主に中東産であり欧州で主流の原油に比べ
圧倒的に硫黄分が多いです。自動車用にするためには前処理
にかかるコストが大きくメリットは少ないですね。
またディーゼルエンジンは小型化が難しく軽自動車やコンパ
クトカーサイズに適用しようと思うと効率がガタ落ちだった
はずです。すでに日本では小型車はガソリン,大型車はディー
ゼルという図式が出来上がっており,ディーゼル車に切り替
わるという新規市場があるのかが疑問ですね。それこそEクラ
スがガソリンからディーゼルに変わるだけですかな。
1000ccクラスでも効率がすばらしいディーゼルを開発すれば
別ですが国内メーカーの開発資源はハイブリッドや燃料電池
の方へ向いています。日本ではこちらが主流でしょう。
投稿: STONE | 2006年4月 4日 (火) 15時35分
私も最終的には電気自動車が最終的には良いと考えています。
BMWの水素自動車は「ガソリンでも走る」と「速度200km/hオーバー」が売りとなっていたるようです。
必要性は別として「速度200km/h」を電気自動車で達成するのは難しいと思います。
メーカーが何をコンセプトに開発するかはマーケットが何を期待するかだと思います。
速度無制限のアウトバーンとかがある国では車はスピードが重要なのでしょう
水素は将来、CO2排出の少ない発電方法が主流になればバイオマスよりも製造しやすいのかも?
WE-NETでは自然エネルギーで水素社会と言っていますが自然エネルギーだけでは水素社会の到来は非常に遠いと思う。
期待は高速増殖炉か核融合なのか?
信号は自動車を運転中は邪魔ですが歩行者の立場ではここに信号があれば近道なのにと思うことがままあります。
投稿: shin1ro | 2006年4月 4日 (火) 18時30分
>私も最終的には電気自動車が最終的には良いと考えています
都市部のみでのお買い物車みたいな用法には良いと思いますが、営業車両やレジャーで遠出するための車としてはいつまでたっても完全なEVは難しいと思います。
走るだけならまだしも、エアコンなどの快適装備にも結構な電力を食いますし、二次電池の性能改善が劇的に進むとも思えません。
結局は何らかの燃料を「燃やして」走る車が主流であり続けるのではないでしょうかね。
そして、そうなると燃料は液体が好ましいでしょうからアルコール(バイオマス+化学合成)って線が強いように思います。
投稿: b-51 | 2006年4月 4日 (火) 21時01分
>欧州では、ディーゼルはガソリンに比べて燃費がいい点が
>注目され、「環境にやさしいのはディーゼル」との見方が
>定着した。今では、新車販売の約5割を占める。
日経Automotive Technologyの06年春号によると、
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI/20060326/115399/
欧州市場でのディーゼル比率の伸びが50%目前で失速し、ドイツ・フランスでは04→05で若干マイナスしたとのこと。
日経の分析では、各種クリーン対策が増えて車両価格が高騰してしまったことと、ガソリン車側の燃費改良によってディーゼルとの差が縮まっていることが原因と見ているそうです。
ハイブリッドが市場で好意的に迎えられたように、「環境に優しい」が選択理由となる面もあるかもしれないですが、実際に市場を動かすのはサイフなのではないかとも思ってしまいます。
あと個人的には、かつてドイツなどで実施されていたディーゼル車購入助成金が廃止?削減?されたらしい?ことも影響しているのではないかと思うのですが(この辺については正確な情報を持っていないので、どなたかご存知でしたら教えていただきたいです)。
投稿: 赤ガエル | 2006年4月 4日 (火) 21時56分
>Shin1roさま
液体水素自動車の件、記者の誤解かと判定したのですが、違うのですね。1ヶ月車に乗らなかったら、液体水素が全部無くなっていたなどということになりかねないので、液体水素だけは無いと思っていたのですが、何か、技術的解決法が出たのでしょうか。
他の方々の見解は、極めて妥当かつ科学的かつ常識的で、メディアに是非読んでもらいたいと思うぐらい。車の燃料は、液体燃料がベスト。ただし、液体水素を除くというのが個人的見解です。加えて、都市内ではEVも使用可能なのでは。電池が問題ではありますが、5分間で容量の30%ぐらいでも充電できれば、それなりに実用になりそうに思うのです。
投稿: C先生 | 2006年4月 5日 (水) 14時28分
液体水素貯槽
最新の構造は不明ですがイメージとしては、魔法瓶のような真空断熱のタンクです。
液体水素をチャージしてそのまま放置した場合には、おおよそ一日に約1℃上昇します。しかし、すぐには蒸発せず、まずタンクの圧力が上昇します。これがおおよそ5日程度でタンクの設計圧力に到達してここからはガス水素を抜く必要があり、ここから毎日1~3%ロスしていきます。
ただ、通常は車を運転すればタンクの圧力が下がるため少なくとも4日ごとに運転すれば蒸発ロスは気にならないレベルになるとのこと。つまり、毎日運転せよと言うことです。
環境的に考えると週1回しか運転されない車が多く存在するようでは問題があるとも考えられるので、コンセプト的にはこれでも有りなのかもしれません。
ところで以前水素吸蔵合金とかのうわさも聞きましたが最近はどうなのでしょうか?
投稿: shin1ro | 2006年4月 5日 (水) 19時53分
shin1roさん、
>ところで以前水素吸蔵合金とかのうわさも聞きましたが最近はどうなのでしょうか?
水素吸蔵合金の場合、その質量に占める水素の割合は、高性能のものでも1割にも充たないですから、自動車のような移動体のエネルギー源とするには重量的な不利が大きすぎると思われます。しかしながら、現在プリウスなどに搭載されているニッケル水素電池は正に水素吸蔵合金利用ですので、ハイブリッド的に使用されていると言えるのかもしれませんが(^^;)
とは言え、液体水素にしても、タンクに大仰な断熱構造が不可欠という重量的不利に加えて、その比重がおよそ0.08g/cm^3にしかならないと言う根本的な問題もありますから、ドッチもドッチといえるのかもしれませんが。
投稿: 温泉カワセミ | 2006年4月 6日 (木) 00時41分
同程度の熱量分の水素を貯蔵する場合に、イメージ的には液体水素タンクの方が高圧ガスタンクよりも設計圧力の点で断熱の問題があってもかなり小型軽量にできるようです。
(設計圧力はおおよそ液タンクで0.5MPa、圧縮ガスで20~35MPaくらいが一般的)
ただ、液化水素を燃料として使用する場合の一番大きな問題は貯蔵ではなく、液化するために費やしたエネルギーを有効に回収するのが難しい点にあると思います。
せっかくの-200℃台温度レベルの冷熱を貯蔵スペースの低減にしか利用できないとしたらすごいロスだと感じます。
しかし、LNGもですがこのような低温液化ガスを燃料用とした場合これらの持つ冷熱を有効に利用するアプリケーションがあまりないのが現状だと認識しています。
投稿: shin1ro | 2006年4月 6日 (木) 08時49分
>これらの持つ冷熱を有効に利用するアプリケーションがあまりない
常夏の地域なら冷房くらいでしょうかね。
後はエンジンの発熱と併用して多少なりともエネルギーを回収するかですが、ペルチェとかスターリングエンジンとかじゃ本当に微々たる物でしょうしね。
あと忘れてならないのが安全性ではないでしょうか。
いろいろな安全策は採られているのでしょうが、常温液体燃料より事故でのガス漏れの危険性が高くなるのは避けようがないでしょうし、給油?時のガス漏れや液漏れ冷凍まで考えるとリスクが高すぎるようにも思います。
投稿: b-51 | 2006年4月 6日 (木) 13時34分
安全性という点で思ったのですが,水素ガスを販売する
ための資格が必要ですよね?
高圧ガス販売主任者(第一種)で良いのかな?
水素なので二種じゃだめだし,この資格を持っている人は
そんなに多くは無いんじゃないでしょうか。
おそらくガソリンスタンドで必要な危険物乙4よりはかなり
少ないはず。(資料ちょっと見つかりませんでした・・)
人的な確保も難しいですね。
あと,販売する水素ガスには匂いって付けるんでしょうかね?
付けないと漏洩時に危険なので必要じゃないかと思うのですが
タンク圧があがると漏れるとなると・・なんかすごく嫌ですね。
この辺り詳しいかたいないですかね?
投稿: STONE | 2006年4月 6日 (木) 15時01分
日本の水素スタンドでは、燃料電池向けの水素を供給しているので都市ガスに使っている付臭剤(硫黄化合物)は燃料電池の触媒の被毒物質なので使用が難しいと聞いたことがあります。
そのため漏洩は漏洩検知器が頼りです。
また、厄介なことに水素の火炎は、人間の目ではほとんど見えないために火炎検知器も必要です。
投稿: shin1ro | 2006年4月 6日 (木) 18時31分
はじめまして。あちこちで、多分役立たずな投稿をしている者です。
素人なりに一点気になったのですが、
水素であろうが、ガソリンであろうが、エンジン内で高温で燃やすと、空気中の窒素から、窒素酸化物が生じるように思うのですが、いかがでしょうか?
窒素酸化物
http://www.erca.go.jp/ondanka/aozora/seikatsu/9.html
もっとも、触媒を用いたりして、かなり排出は押さえることが出来ると思いますけど。
また、炭素や硫黄を含みませんから、一酸化炭素や炭化水素、硫黄酸化物(SOx)は、ほとんど出ないと思います。
参考までに、現行の排ガス規制
http://www.jama.or.jp/eco/eco_car/info/info_1t1.html
投稿: 多分役立たず(HNです) | 2006年4月 6日 (木) 18時43分
Wikipediaを見たら、ガソリンエンジンよりは窒素酸化物の排出量は少ないとありました。
水素燃料エンジン - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E7%B4%A0%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3
水素自動車 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E7%B4%A0%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A
投稿: 多分役立たず(HNです) | 2006年4月 6日 (木) 19時04分