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2006年3月10日 (金)

NHKのPSE法の報道

 9日のNHKニュース10をご覧になっただろうか。これまでこのHPで議論してきたPSE法の報道をしていた。中古品販売事業者が集会を開いて、PSE法の中古品への適用除外を求めてた。

 NHKは、中古品販売事業者の意見を2件ほど報道し、そして、経済産業省の局長(?)のコメントとして、「法律の周知が十分ではないという指摘はあるが、これまでの5年間の猶予期間でその後に対して準備された事業者も多いことを考慮すると、予定通り施行する」と放送した。

 この放送だけを聴いていると、事業者の主張が全面的に正しく、経済産業省の主張がいかに官僚的か、という印象を持つ。

 しかし、これまで本HPで記述してきたように、多少の努力をすれば、中古品販売業者でも、製造者になれて、技術基準にあった自主検査を行えば、それで堂々とPSEマークを貼ることができる。中古品販売業も、「自らが販売する中古商品の安全性に、自分なりの責任を持つ」、これが法律の主旨であって、決して悪いとは言えない。

 先日の朝日新聞の3月1日の記事のように、「中古品販売事業者は、万一の事故の場合は販売した製品の全責任を取る」などという記者の常識を疑う全く論外の記事を出すのも大いに困るし、本日のNHKの論調も誤解を世の中に生み出すだけである。

 それでは、中古品販売業はどこまで責任を取るのか? それが朝日の言うような「全責任」などであろうはずはないのだが、それでは厳密にどこまでなのか、と言われれば、経済産業省は何も言えない。私自身も大体想像は付くが、実際にどうなるかとなると、なんとも言えない。何故か? 何か事故が起きて、そして裁判になったときに、司法がそれを判断するものだからである。

 法律というものはそういうものだ、という報道を朝日新聞もNHKもやらないのは、一般社会がそれを常識として知っているはずだから、なのだろう。確かに、三権分立という言葉を知らない大人は居ないから当然だ。しかし、本当にそれを実感として知っていて、きちんと説明できる人は、人口の何%なのだろうか?

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コメント

中古品販売業はどこまで責任を取るかですが、そのことについては、3月9日に経済産業省のホームページの改訂があり、以下のようになっています。
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/keikasochi/keikasochi_q&a.htm#Q9

この回答を見ると、多少の努力ではPSEマークをはることができないように私には思えます。
それでも、先生は、多少の努力でPSEマークを貼り付けることができるとお考えですか?

投稿: はる | 2006年3月10日 (金) 21時51分

ごめんなさい。
さきほどのリンク先ですが、1行の長さ制限に
引っかかってしまい、完全に表示されない
ようです。
ですので、下のページに飛んだあと、
経過措置の終了に伴う電気用品の取扱い
に関して」をクリックしてください。

http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/

この回答を見れば、わかりますが、経済産業
省の考えれば、中古業者にPL法や、不正
競争防止法、商標法等なども押し付けるように
も解釈できます。
この点について、先生の考えを教えてください。

投稿: はる | 2006年3月10日 (金) 21時59分

C先生でなくてすみませんが、上記のページのどの辺りを読むと、はるさんのご指摘のようなことを読み取れるのでしょうか?
私にはそのような記述は見つけられなかったのですが…

まあ、PSEマークを貼るためには製造者扱いになる=その製品に関して全責任をとるということだと言いたいのかも知れませんが、常識的に考えてそうはならないんじゃないですかね?
最悪でも、ユーザからの損害賠償が中古販売業者に対して認められたとして、その要因がPSE認定試験で発覚しないような問題であれば、その賠償分をそのまま元の製造メーカに求めることができるように思います。
OEMとか輸入品の場合と同じだと考えればこんなものじゃないですかね?

投稿: B-51 | 2006年3月11日 (土) 00時03分

学生サークルが新入生のために、卒業生のまだ使える家具、家電製品等を回収してリユース市を開く計画をしています。運搬等の回収実費だけを新入生に払ってもらうというのですが、念のため経産省に問い合わせたところ、PSE法の適用を受けると返答されたそうです。中古品販売業者だけの規制じゃなかったんですね。そのサークルはアタマを抱えています。

投稿: 越喜来 翔 | 2006年3月11日 (土) 01時04分

この一連のPSE騒動を見ていると、人間が理性的であることの難しさを思い知らされます。
人は自らの立場に反する意見ならば、相手を「くだらない人間」と評価し、相手が疲れ果てるまでレッテル張り続けます。
しかし、自らの立場に合う意見ならば「権威」としてもちあげるのです。

そこにはもはや、何が正しいかを判断しようという姿勢は無く、自己弁護の塊となってしまっています。
なぜこうなってしまうのでしょうか?

投稿: 榊 | 2006年3月11日 (土) 10時00分

>>B-51さん
PSEマーク貼り付けについての質問Q9の
回答A9に上にあげたことがかかれて
あります(事故がおきたばあい、PSEマーク
をはりつけた業者が製造者として責任を
とれとか、正競争防止法、商標法等の法律
など他の法律に触れる可能性がかかれている。)

投稿: はる | 2006年3月11日 (土) 13時11分

>>はるさん
ご指摘の経済産業省のHPですが、3月9日には、Q&A10が更新されているだけです。2月17日に更新されたQ&A9が確かに重要で、ここでは、単に自主検査のみではなく、電気用品の技術基準に適合していることを義務化する記述がなされています。それ以前は、経済産業省も、恐らく、自主検査のみでも良いと考えてた可能性があります。

加えて、製造時業者の責務が記述されていますが、これはあくまでも一般論だと解釈すべきです。

中古品販売業にどのような責任があるのか。それが製品についての全責任であるといったことは有り得ないことです。しかし、どこまでか、となると、司法が個々のケースについて判定することになるでしょうから、ここでは何も言えません。

裁判になったことを仮定すると、中古品販売業が製造者となって検査を実施したときに、「最善を尽くした」ということを証明できることが必要不可欠だと思われます。

>>越喜来 翔さん
新入生のサークルが困ったという話。これは本当ですか? そのサークルが事業を行っているとはとても思えない。手数料を取れば話は別ですが、回収実費までであれば。

いずれにしても、現在、経済産業省はかなり神経質になっているように思いますから、余り刺激しないこと。そして、最後はわれわれ一般市民の常識的な判断が法律の運用を決めるということ、この2点を意識すべきだと思います。

投稿: C先生 | 2006年3月11日 (土) 21時08分

先生のコメントありがとうございます。
先生の言われるとおり、販売業者が
ある程度製品の安全性について
販売することについては、賛成です。

ただ、今回のPSE法についての経済
産業省の発言や行動をみていると、
我々の常識的な判断とかけ離れている
と思われることが多々あるのです。
例をあげると
1 周知徹底してきたといいながら、
中古を扱う業者には2月まで周知しな
かったこと(3月10日 読売新聞)や、

2 中古電気製品については電気用品
安全法以前の電気用品取締法に含まれていた
という3月1日の予算委員会分科会での
経済産業省の迎陽一商務流通審議官の
発言、

3 PSEマークの他の製品版とも
いえるPSCマーク(ベビーベッドや
乗車用ヘルメットなどが含まれる)や
PSLPGマーク(ガスコンロやガスストーブ
などが含まれる)については、マークが
ないと販売できないと経済産業省は、
言っておきながら、これらについては
マークのないものの中古品販売の禁止
については未だ言っていないこと
(製品安全 平成15年11月 経済
 産業)

などがあるのです。
今回の騒ぎの原因の一つとして、
我々の常識的な判断と経済産業省との
間に大きな隔たりがあるとわたしは
思っています。この隔たりを埋めるには
経済産業省や政治家に我々の声をあげるの
は当然のことだと思いますが。

投稿: はる | 2006年3月12日 (日) 00時10分

> これらについては
> マークのないものの中古品販売の禁止
> については未だ言っていないこと
ナイーブに考えれば、単に問題になる程中古品が流通していないからでは?と思うのですが。
私の個人的な経験として、ガスコンロやベビーベッド、ヘルメット等を中古で買うという話は殆ど聞いたことがありません。

投稿: MORITA | 2006年3月12日 (日) 04時13分

学生のリサイクル運動の話ですが、ある大学では、今回のPSEはさしあたり問題ないとの解釈が出ています。
大学によって対応や解釈がばらけているのでしょうか?

http://recycle.main.jp/index_nasi.html
こちらの「スタッフのつぶやき」2/18付

投稿: ioring | 2006年3月12日 (日) 10時54分

>はるさん
確かにそういった記述はあるようですが、あくまで「可能性があります」とか「場合によっては」など、最悪の場合を想定した場合のことを書いているだけのようにも読めますよね。
結局、この辺りはケースバイケースで、司法的な判断がないと明言できないから、「このような場合もありえますよ」といっているのではないでしょうか?
こういった姿勢はお役所ではどこも一緒といった感じでしょうかね。

まあ、経産省の姿勢があいまいであるとか、行動が遅いとかいった問題がるのは事実だと思いますが、法律自体に根本的問題があるとまでは思えません。

あと、中古販売業者の方たちも、いろいろ問題を感じておられるのなら署名活動とかをもっと積極的に展開しても良いのではないでしょうかね?
経産省の周知徹底が足りなかったのはおそらく誰の目にも明らかだと思いますので、「猶予期間の延長」を求めた署名を集めれば政治の舞台に持ってくることもできるのではないかと思います。

投稿: B-51 | 2006年3月13日 (月) 10時26分

先にも書いたが、もともと中古業者にだってPL法上の責任を負う可能性はあるのだ。
問題にすべきは、どこまでなら元製造業者の責任となり、どこからは中古業者の責任となるのかの線引きが無い点なのでは? PL法で言うなら、改造とみなされる境界、説明義務違反となる説明書や注意書きの欠損など。

判例として積み上がっていない現状、これらについても「どうすれば最善を尽くしたと言えるか」という議論が、中古業界内で不可欠であると思われるのだが。
どうも、「悪法反対」の声ばかりが高く、そういった消費者のための議論があまり聞こえてこないのが残念。

>B-51 さん
猶予期間の延長は私も賛成です。もし署名活動があるなら、喜んで協力するでしょう。

投稿: Tim | 2006年3月14日 (火) 11時41分

>この放送だけを聴いていると、事業者の主張が全面的に正しく、経済産業省の主張がいかに官僚的か、という印象を持つ。

貴殿の記事は、経済産業省の主張が如何に正しく、
反対の主張が如何にオカシイか、という印象を世に与える。

>中古品販売業も、「自らが販売する中古商品の安全性に、自分なりの責任を持つ」、これが法律の主旨であって、決して悪いとは言えない。

「自らが販売する中古商品の安全性に、自分なりの責任を持つ」とは、
基盤の炭化や小動物などによる(局部の回路的な)絶縁性能の低下や、
製品の機能的な問題などの障害を出来る範囲で検査・除外することであり、
PSE法に従った検査とは異なる。

PSE法は、初期の理念と実際(方法論)が全く整合しないバカ法なのである。

PSE法と電気用品の安全を混同した記事掲載は、ミスリードを誘う悪質行為。

>本日のNHKの論調も誤解を世の中に生み出すだけである。

誤解を世の中に生み出すだけなのは、貴サイトの記事ではないか。

投稿: 溪慈 | 2006年3月19日 (日) 18時10分

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