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2006年12月26日 (火)

12月26日:養老先生の暴論?

「早く石油を使い切れ!!」

アエラの記事。07.1.1-8号の記事である。内容は、石油を使い切った方が、人類は幸せな生活ができる、というもの。

内容は、私も講演の際に「冗談として」良く言う話と似ている。曰く、「今、皆さんが異常に忙しいとしたら、それは化石燃料のせいである」。「化石燃料がなくなると、時間がもっと濃密になる」。「都市居住が不可能になって、地域分散型居住になる」。。。。

養老先生は、このような話を、さらに包括的にあらゆる観点から真面目に議論されている。

この範囲内の話、すなわち、2300年から2500年頃に来るであろう化石燃料終了後の時代に限るのであれば、特に問題とすべき内容とは思わない。ただ、暴論的要素があるのは事実である。

現時点で、本当に真剣に議論しなければならない問題は、その段階に至る「経路」なのである。化石燃料への依存が全くできなくなれば、かなり穏やかな世界が来るのは明らかなのだが、その過程で相当ひどい状況が起きるのではないか、と心配している。

すなわち、自国の資源枯渇をいささかでも延ばそうとする各国のエネルギー戦略が、この地球上の大きな不安定要因になる。先進国+BRICsが奪い合いを行って、途上国は置いていかれる。そのため途上国では相当な人口増加が起きる。先進国がバイオエネルギーの奪い合いを行うもので、食糧が大幅に不足する。サトウキビ畑、パームヤシ林ばかりになって、自然に近い熱帯林は、一本も残っていないのではないか。

国によっては、某中東や極東の国のように、原子力開発に血道を上げる。それが満たされても満たされなくても、それらに由来するリスクが増えることは事実だろう。

しかもさらに悪いことには、原子力に使う核燃料自体も、そのうち、枯渇する宿命にある。

そうなると、太陽発電衛星といった巨大技術に依存しようとする国が出てくる。ところが、そのための金属資源が足らない。

そして、結果として、最後の楽園のような状況が実現する前に、大地獄を見る。

養老先生は、文末に近いところで、「この都会の秩序は、地球温暖化の犠牲の上にある。中国が全部都市になったら、地球は滅びる」、と書かれているが、これが必然的な道筋だとは思わない。地球温暖化で地球が滅びるかどうか、それは、人類の考え方一つである。もしも温暖化が本当に重大だという考え方が共有された暁には、すべての国が二酸化炭素を分離し、海中・地中貯留することを合意すれば良いだけである。これは、化石燃料の枯渇をかなり早めるが、途上国への支援を同時に実現すれば、いずれ絶対に枯渇するものなので、枯渇それ自体が悪いというものでもない。

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コメント

 毎度楽しみに読ませて頂いております。内容が難しくて分からない事も多いですが。
 ところで今回の件で,『置いていかれた途上国で,相当な人口増加が起きる』のはどういった理由でしょうか?過去にどちらかで解説されているとは思いますが,どなたかお教え頂けませんでしょうか?
 また,最終的に太陽エネルギーを直接,あるいは比較的短いサイクル(年とか月とかいうサイクル)で間接的に利用する以外にエネルギーが使えなくなった時,地球上ではどれだけの人口を養えるのか,どこかで推定された数字があったらお教え頂けませんでしょうか?昔読んだ何かの本に,ある仮定をした上で,ざっと10億人くらいと書かれていたように記憶しておりますが・・・。そうなると,さらに,どう計画的に地球の人口を減らすのが良さそうなのか,といったことも気になりますが,世界中の指導者達が,それについてどのような考えを持っているのかも分かりません。分からない事だらけで,もしかしたら何か書いてあるかも,と思い,このHPを読んでいる次第です。

投稿: | 2006年12月28日 (木) 12時42分

「都市居住が不可能になって、地域分散型居住になる」
都市に固まって住むよりも、田舎に分散して住むほうが環境負荷は高いって聞いたことあるけどどうなんでしょう。

投稿: | 2006年12月28日 (木) 22時39分

>『置いていかれた途上国で,相当な人口増加が起きる』のはどういった理由でしょうか?

私見ですので、C先生のお考えとは違っているかもしれませんが。

基本的に生物は苛酷な環境では子孫が生き残る確立を上げるために子供を沢山作ろうとしますよね。
また、エネルギーや化学肥料が不足すると耕作面積を広げないとなりませんし、薪や水を確保するための人手を増やすために子供を多く作るというのもあるでしょう。

さらに、娯楽に割ける余裕がなくなると、身一つでできることに娯楽を求めるというのもあるのかもしれません。
#途上国でサッカーが流行る理由もこれですからね

現状を見ても貧しい地域ほど子供を沢山作る傾向にありますよね。

>「都市居住が不可能になって、地域分散型居住になる」

エネルギー消費ができなくなると、食糧生産地の近くに住むしかなくなるからじゃないでしょうか。(輸送にはエネルギーが必要なので)
また、農業等の一次産業関連以外の職業に就ける人口が激減するってのもあるでしょうね。

以下、C先生のご意見でちょっと疑問に思った部分です。
>化石燃料への依存が全くできなくなれば、かなり穏やかな世界が来るのは明らかなのだが

そうなんですかね?
確かに、究極的には牧歌的な状況に落ち着くのかもしれませんが、人口を増やさないような努力を継続する必要があったり、充分な医療が受けられない状況になったりと、そういう面ではあまり穏やかとも言い切れないのではないかと思います。

さらに、農業が主流産業という状況は、耕作地の広さ≒国土の広さが富をもたらすことになりますので、前時代的な侵略戦争が勃発する危険性は充分にあると思います。

なので、私としては、C先生の仰るような「混乱期」はかなり長いこと続くと思います。
ひょっとしたら、古代から中世までのような歴史が永遠と繰り返される状況に陥らないとも限らないのではないでしょうか。

投稿: B-51 | 2006年12月29日 (金) 02時08分

 コメント欄では始めまして、です。
ブログ『ん! -ピークオイル時代を語ろう-』からトラックバックを送らせていただきます。

 化石燃料が枯渇するのが2300年頃というのは本当に斬新な新説だと思います。一体どこのどんな文献に出ていたものでしょうか。

 それに、まずここで書かれたような問題が起こるのは資源が枯渇しきった後の時期ではなく、現在の主力の化石燃料である石油の需要を供給が賄いきれなくなる時点、つまり石油時代前期が終わる時点、究極埋蔵量の半分を使いきった生産量ピークの時点だ、というのは、ここ2年ほど欧米で燃えさかっているピークオイル論の大前提だと思います。
 (もっと早いと思いますが)仮に2030年にピークオイルになるとしても、2300年というタイムスケールでの話を想定するのは、トンでも論になるのではありませんか。

投稿: SGW | 2007年2月 6日 (火) 04時32分

SGWさま

石油というものの意味をどこで見るか。使いやすさと価格という両面がありますが、一方で、エネルギー資源の最大の特徴は、代替性ですので、液体燃料を何から得ても良い訳で、その意味では、ピークオイル自体には「使いやすいエネルギー源が無くなった」ということ以上の重大性を認識する必要は無いのでは。価格の上昇は勿論ありますが、それなりに、液体燃料は手に入るでしょう。

ピークオイル、いやいやというよりも、石油枯渇の最大の危機は、むしろ、産油国というものが消滅して、これが世界情勢にどのような影響を与えるか、ということではないでしょうか。

投稿: C先生 | 2007年2月 6日 (火) 19時31分

 ○先生に反論するようですが、2005年に出たDOEのハーシュレポートでは、仮にただちに代替燃料への転換を始めても、ピークが20年先よりも手前に起こるなら、必要な規模の代替燃料をタイムリーには供給できず需給ギャップの急拡大が起こるだろう、直ちに対応策に動くことが必要だ、という結論になっています。

投稿: SGW | 2007年2月 7日 (水) 01時45分

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