2月3日: 中印、電子ゴミ経済
中国やインドの貧しい農村や大都市の郊外に、壊れたパソコンなどの電子ゴミがあふれている。健康被害を防ぐために、処理現場での安全対策が不可欠だが、目先の利益を求める業者の意識は低い。ゴミの中には、明らかに日本から輸出されたとみられるものがあった。不正防止には、国際的な密輸防止対策の強化が欠かせない。
中国広東省。1990年から電子ゴミが入ってきた。ゴミとはいえ、状態がよければ基板などの部品が売れ、銅や金などの貴金属が取り出せる。従業員が4,5人の零細企業でも、月の売上げが200万元(3000万円)になるといい、通常の月収が1千から1500元の地域では破格。
一方、パソコン部品に含まれる、鉛、水銀、カドミウムなどの有害物質が大気中に飛散したり、分解の際に使った溶剤が垂れ流されることによる住民の健康被害も深刻。スワトー大学医学部の03~04年の住民健康調査によると、1歳から6歳までの子ども165人のうち、135人が鉛中毒だった。
インドのニューデリー周辺の状況は、さらに悪い。
国際的な対策が急務である。バーゼル条約では、輸入国の同意が無い限り、輸出できないが、実際には、「中古パソコン」「混合金属」として取引されている。
欧米、日本、タイ、オーストラリアから香港を経由して、そこから密輸される。
95年にバーゼル条約締結国会議で、先進国から途上国への有害廃棄物の輸出を全面禁止する条例改正は採択されたものの、発効していない。日本も批准していない。環境団体から「米国、オーストラリア、などとともに、禁止条約の発効を遅らせようとしている」として批判されている。
C先生:この話、この記事に記述されているほど単純ではない。資源として輸出される廃棄電子機器だけでなく、中古品として実際に輸出され、その後、使用された後に現地でゴミになるもの、場合によっては、現地で生産されてゴミになるもの、様々なものがあるからである。バーゼル条約を強化したからといって、問題が全面的に解決する訳ではないのである。
この問題は、経済発展と作業環境の改善という根本的な問題を含むから、小手先での解決は不可能なのである。
言い換えれば、究極の解決としては、中印ともに、電子ゴミが不法投棄されるような国にまで経済的に成長する必要があるのである。
この問題の最善の解決法とは何か。なかなか答えは出ないが、新品を売るときに、その価格の中に若干の負担を入れておいて基金を作り、この基金で電子ゴミを買い取り、適正処理を実施する処理業者を選択して、そこでの処理を条件にして輸出するのが良いのではないか、と思われる。
電子機器のリサイクルは、資源の有効活用という面からやはり必要不可欠である。特に、銅は是非とも回収をすべきである。将来世代にとって、元素危機も、エネルギー危機、気候変動危機と同様に避けるべき危機の一つだからである。
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