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2007年3月 3日 (土)

3月3日: 都合により先付け文書をアップ

 明日、アップをしている時間が無さそうなので、本日、明日付けの文書をアップしました。

 お題は、読者のお1人から情報をいただいた、「温暖化のニセ科学」という田中宇氏による指摘への反論です。先に結論があって、それに合う論説だけを選択する、という手法を取れば、世の中、どんな結論でも主張できそうです。

http://www.yasuienv.net/

 何を結論とすべきか、予見を持たず、できるだけ客観的に情報を集め、そして総合的に判断すること、これが科学者に対して、あるいは、あらゆる専門家にも求められていることなのですが、時間が無いとなかなかやれないのが実情。また、科学者と言えども、あるいは、科学者だとますます(??)、自分の短期的利益に引きずられた結論を導きやすいことは、過去の流行した環境問題の中に実例を多数見ることができる。

 忙しい人の場合は、何にしても、「結論、先にありき」になりがち。自戒を込めて。。。。

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コメント

おお、すばらしい。田中氏は陰謀論が十八番で、出所の怪しい2次・3次情報(ひどいときは自分の以前の文章が事実の論拠な事もある)を基に国際関係を論じることが多いです。「温暖…」もそういうスタイルで書かれた文章です。ですが、ちゃんとした人が反論しないと騙される人が増えてしまいます。こういう作業は専門家にとって時間を食われる割に生産的でない行為なのは十分承知していますが、それだけにこのコラムはとても高く評価できると思っています。書いてくれてありがとうございました。あ、もちろん本業の方の文章もとてもありがたく読ませていただいております。これからもますますの御活躍を祈念します。

投稿: zwark | 2007年3月 4日 (日) 00時05分

田中氏はロンボルグの訳者にも pseudo-crank journalist とか
net scavenger と言われている人。ある程度リテラシーあれば分かることですが、この辺でクギを刺しておいたほうが良いでしょうね。

http://cruel.org/candybox/e0716moore.htm

投稿: 安野 | 2007年3月 4日 (日) 09時20分

その人のコラムが一時は環境総合研究所のHPにあったけど、今は残骸が残ってるだけ。
http://eritokyo.jp/independent/tanakasakae-col1.htm
どうゆう理由で消えたのかはわかりません?
昨年の大雪も今年の暖冬もどっちも地球温暖化の影響って言われて、素人にはわけわからなくなってます。そんな空気を読んでの「温暖化のニセ科学」なんでしょうか。

投稿: のび太 | 2007年3月 4日 (日) 15時26分

>先に結論があって、それに合う論説だけを選択する

でも報道業界(とくに政治)では、それが常道ですよね……
田中宇氏はそういう世界のルールで科学を判じ、ものを書いてしまったのでしょう。

投稿: RK | 2007年3月 5日 (月) 12時54分

陰謀論かどうかはさておき、
科学的に90%以上正しいとされるものを
政治的に何%正しいか分からないことに
利用されるかもしれない、という観点は、
あながち全否定できないのではないでしょうか。
(安井氏が「環境時事問題解説」でそれとなく触れられているとおり)

科学的に正しいことも、
科学的にまるっきり誤っていることと同様に、
それ自体だけで存在しうるのは
限られた領域においてのみでしょう。

要は、正しい正しくないというところだけ見ていると
たとえ客観的に正しくはあっても、
実際は危なっかしい、というところでしょうか?
(これも安井氏が触れられているとおりですが)

投稿: 往々 | 2007年3月 5日 (月) 13時42分

田中宇の文章の中で、以下の部分は明らかなウソですよ。

>その一方で、温室効果ガスとして二酸化炭素と並んで悪者扱いされている大気中のメタンの量は、1990年初め以来増えていないことが、今回の報告書に記されている(4ページ)。

実際の報告書の記述はこうです。

The global atmospheric concentration of methane has increased from a pre-industrial value of about 715 ppb
to 1732 ppb in the early 1990s, and is 1774 ppb in 2005.

つまり、メタンの量は「産業革命前715ppb、1990年初頭1732ppb、2005年 1774ppb」と書かれています。10年ちょっとで42ppb上昇していることになります。

このような人物の挙げる情報はまず、記述がウソでないかどうかを確かめてから出なければ検討できません。
データの出所の書かれていない記述を信じて議論するべきではないと思います。

投稿: ABYSS | 2007年3月 5日 (月) 17時52分

>B君:ところで、海面上昇の予測計算だが、何が勘定に入っていて、何が入っていないのか。

に関してですが、先日公表されたレポートを見る限り、熱膨張、山岳氷河雪冠、グリーンランド、南極の4つを考えているのだと思います。2月4日の記事のところで指摘すべきかと思っていたのですが、先生の記事の中の値とレポート中の値が異なっています。レポート中の表では4つの合計と総合は合っています。

投稿: law | 2007年3月 5日 (月) 20時38分

「ホッケーの棒理論」という表現は奇妙ですが、もし、それが、C先生が最後に引用されているわたしのページの最初の部分に書いたような「過去1千年の気温を時系列としてみて、20世紀の気温が産業革命前のゆらぎの幅からはみ出す値をとっていれば、それは産業革命前からあった要因ではなく20世紀特有の要因の影響を受けているにちがいないと推測される。」という「理屈」をさすとすれば、そういう理屈は、2001年の第3次報告書では使われていましたが、今回の第4次報告書の要旨には見当たりません。そこで「ホッケーの棒理論」が今回消えたという田中氏の理屈はいちおう成り立ちます。しかし第4次報告書でも「古気候からの展望」として過去約千年の気温変遷の(事実認識としての)話はあります。また、第3次報告書でも、現在の温暖化の原因が人為起源だという主な根拠は20世紀のシミュレーションであり、千年の気温復元推定の役割は補助的だったと思います。シミュレーション(「B君」の紹介された図2など)の精度が高まったので補助がなくてもよくなったのだと思います。

グレーデル・クルッツェンの本は原書出版が1995年ですからその古気候曲線(「A君」の図4)はIPCC第1次報告書またはそれと同じころのものです。このころに示されていた過去千年の全球または北半球の気温グラフは、データの多いヨーロッパの状況を反映しているようで、全球・半球を代表していない可能性が高いです。(日本の歴史記述にも合っているようですが、それはたまたま日本付近の寒暖がヨーロッパと同位相になりやすい傾向があるからかもしれません。) 1997年から2005年までのいろいろな研究のグラフを重ねてプロットした図が
http://www.aip.org/history/climate/xmillenia.htm
にありますが、400年以上さかのぼると曲線相互の一致はあまりよくありません。ただし20世紀後半が目立って暖かいとはあいかわらず言えるようです。第4次報告書本体には更新された同様な情報がはいると思います。

氷の件ですが、最近の観測データで目立って減っているのは北極海の海氷です。これは海水準には(直接には)影響しません。海水準に影響するのは陸上の氷です。南極・グリーンランド以外の山岳氷河の氷は合計として減っており、これまでの海水準変動に海水の熱膨張の次に効いているようです。南極とグリーンランドの氷の量のこれまでの変化の評価は非常にむずかしいです(最近3年ほどの変化のデータは出てきましたが、過去なん十年も同様の傾向が続いたとは限りません。第4次報告書要旨(2月2日公開英語版)のTable SPM-0の数値もこの2大氷床から1961-2003年の海水準変化への寄与は符号が正か負かもよくわからないということのようです。)。

今後の見通しとして、2100年ごろの状態として予測されているような気候(ありそうなシナリオのどれでも)が何千年か続けば、グリーンランド氷床の氷が大部分とけ、海水準が6メートル程度上がる、可能性が高いでしょう。そして、いったんCO2レベルが上がると、積極的に大気からCO2を取り除く技術が実用化されない限り、CO2レベルが下がるのに何百年もの時間がかかるでしょう。したがって、「人間活動はすでに6メートルの海水準上昇を起こすことにコミットしている」と言えるかもしれません(上記の「何千年」の「何」が1に近く「何百年」の「何」が10に近い値であればですが)。しかしそれは千年後の子孫の世代に対して責任があると言う意味であり、百年くらいの間にそれだけ水位が上がるというイメージ(ゴアの映画は見ていないのですがそういう印象を与えているようですね)はまちがいです。ただし、この判断は、大陸氷床の変化はおもに降雪と融解の収支で決まるという、現在標準的な考えによったものですが、温暖化に伴って氷の流れが速くなり氷床がもっと早く消滅するのではないかという説もあり、検討する必要はありそうです。

大気中メタンの件、ABYSSさんのおっしゃることももっともなのですが、15年ほどの増加量がこれだけわずかならば、「増加が止まった」という表現もまたもっともです。田中氏の議論はいろいろおかしいところがありますが、この部分は悪くないと思います。

以上、広い意味で気候変化の専門家ではありますが、ここでの話題そのものを専門としているわけではない立場からのコメントです。

投稿: masudako | 2007年3月 8日 (木) 22時10分

ご存知の方も多いと思いますが、国立環境研究所では、
地球温暖化にまつわる良くある質問、素朴な疑問に答え
るため、「ココが知りたい温暖化」というQ&Aを始めて
います。参考までに紹介させていただきます。
http://www-cger.nies.go.jp/qa/qa_index-j.html

投稿: mat | 2007年3月 9日 (金) 19時10分

ホッケースティック論争の McKitrick がNewsweek誌にIPCC批判のコラムを寄せています(日本版にも邦訳が載っています)。
私のような門外漢から見ると、IPCC報告書は普通に中立的に思えるのですが、参加者の中にも不満はあるようです。

http://www.msnbc.msn.com/id/16948233/site/newsweek/

投稿: 安野 | 2007年3月10日 (土) 00時53分

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