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2007年3月16日 (金)

3月15日: 飯田哲也氏の「私の視点」

 朝日新聞の私の視点。「自然エネルギーの上乗せを」。
 電力会社に自然エネルギーの利用を義務づける新エネルギー利用特別措置法(RPS法)の新しい目標が決まった。小委員会が答申したのは、2011~14年度の値で、14年度の目標を160億キロワット時(全電力の1.63%)とした。すでに決まっていた10年度の122億キロワット時から3割の積み増し。
 しかし、これでも少ない。今後10年前後で、電力の20~30%を自然エネルギーで賄う計画を持っている国として、ドイツ、英国、カリフォルニア州などがある。日本の目標よりも1桁以上多い。
 だれが費用を負担するかについて、本質的な合意がなければ、今後も伸びないだろう。RPS制度は英国を見本とする制度だが、自然エネルギーによる電気を高い価格で電力会社が買い入れる「固定価格買取制度」は、ドイツが採用。発生する追加費用は、電気料金全体に薄く乗せる。

C先生:多少抑え気味の論説のように拝読。導入限界の議論を尽くすことなく、低めに誘導された、という認識のようだ。これまでも書いているように、「質の良い電力」というものの考え方をそろそろ変える時期に来ているように思える。周波数、電圧が安定している電力よりも、自然エネルギーがより多く活用されている電力の方が、「質の良い電力」なのではないだろうか。その準備のために、全国電力系統の強化、50Hz、60Hz両立の解消など、超長期の対策を考えるべきだ。

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コメント

先生に質問なのですが、従来型の「質の良い電気」とはどのように定義されているとお考えでしょうか?
停電しない?電圧が変動しない?周波数が変動しない?などあります。今は3拍子そろったものを「質の良い電気」としていますが、どれを犠牲にすると考えているのか、全部どうでも良いとお考えなのか、お聞かせ願いたいのですが。
「質の良い電気」と言うのは実は供給側にとっても結構重要な用件なものなのです。

投稿: 嘘つきさん | 2007年3月16日 (金) 06時35分

そういえば、質の良い電気の提供がない国では、PCを使う人などは各個人で無停電装置を持っているのだとか。
日本じゃPCにつけなきゃ顧客満足は得られなくなりそうですね。
単純にバッテリー付なら問題ないのかもですが。

投稿: z | 2007年3月16日 (金) 08時47分

補足します。
多分、先生は環境に負荷をかけない電力を「質の良い電力」と仰りたいのでしょうが、電力システムと言うものは巨大なエネルギーが轟々と移動している状態であることを忘れているのではないでしょうか?電力もエネルギーですから、「車は急に止まらない」と同じく急に止めたり、向きを変えたりは出来ないことを少しは知って貰いたいですね、電気科卒としては。昨年の東京で起きた電線切断に伴う停電の時も、送電ルートの切り替えがスイッチをチョンチョンとやるだけで出来ると考えている人が多いんで、そう簡単には出来ねぇんだよ、と苦々しくニュースを見ていました。風力発電が電力会社に嫌われるのはその辺の事情からです、ころころ変動する電源は送電設備的にきついんです。

投稿: 嘘つきさん | 2007年3月16日 (金) 21時10分

 質の良い電力の考え方を変えること、まずは、その実現時点を30年後としていることを再度、確認してください。
 その時点での質の良い電力は、今のように、周波数が0.1Hz程度の揺らぎで納まっている、電圧も1.5V程度の範囲内に納まっている、といったものではなく、家庭用なら、(1)停電は現在程度の信頼性、(2)200Vプラスマイナス15V、(3)55Hzプラスマイナス5Hz、ぐらい。
 55Hzというのは、まあ、半分冗談半分本気で、家庭用の周波数を切り替えれば、産業用電力も当然55Hzになるでしょうが、もしも、現在使用中の50Hz、60Hz産業用機器で使えるものはそのまま使うことで、50Hz、あるいは、60Hzに統一するよりは、機器の更新が少なくてすむのではないか、という程度の理由。真偽のほどは定かではない。

投稿: C先生 | 2007年3月17日 (土) 10時24分

うーん、簡単に言ってくれますが、50Hzの発電機を55Hzで回すと回転数のオーバースピードでトリップです。60Hz機は機械的には55Hzでも使えたはずですが…。(2)は多分それほどの問題はなし、ただしインバータ機器だと電圧低下すると電流を増やして電力一定を保とうとするので、ブレーカが飛ぶ可能性が少しばかり高まる。
なんにしても、10%も周波数のふれは機械的に許容出来ないと思います。制御の設計も大変だ。送電設備もきついのではないかな?周波数が10%振れれば送電線のインピーダンスも変化するし…。その辺があって(1)を確保するとなると、各ご家庭に無停電電源装置が必要でしょうねぇ。
先生、電気もエネルギーなんです、轟々と流れる川の流れをちょいと変えることは出来ないように、電気も簡単には「流れ」を変えるのは難しいのですよ。

投稿: 嘘つきさん | 2007年3月17日 (土) 18時08分

短期・実務派「おいおい、ちょっと待ってくれよ。ゲンバを知らないヤツがエラそうなことゆーなよ。いろいろフクザツなんだぜ」
長期・理想派「そりゃ分かってるヨ。でもサ、ゲンバの事情にだけかかずりあっていると、それこそハナシが進まねえダロ?」
短期・実務派「誰のおかげでノンベンダラリの日々を送ってられるか分かってんのか、あぁ? それによ〜、そんじょそこらのヤツらが今の“快適で便利至極がごく当たり前のセーカツ”を捨てられるワケねーだろ。天変地異でもあれば別だがな」
長期・理想派「だからサァ、今の“快適で便利至極がごく当たり前のセーカツ”が環境的に最適なのかと、そういうところも考えなきゃそもそもダメなんってばサ、多少不便で不安定でも、環境を考えるとここまでならOKと、そういう合意を少しずつ形成して・・・」
短期・実務派「アーッ!、ホント、簡単に言ってくれるよナ」
長期・理想派「イヤ、難しいってことは、分かってるんだけどサ」
短期・実務派「ハァ・・・」
長期・理想派「ハァ・・・」

投稿: 両者ごもっとも | 2007年3月19日 (月) 14時06分

電力技術的には嘘つきさんが正しいです。
±5Hzなど論外です。

50Hzの場合、タービンは火力発電では毎分3000回転、原子力発電では毎分1500回転しています(水力は750回転など)。

日本では各電力会社ごとに周波数維持をしてますから、各会社ごとに火力や原子力のタービンは上記の回転速度で同期を保ちながら回り続けているのです。

三相交流の発送電システム(電動機も含めれば供給~需要まで全て)をひっくり返して、私には実現性はないと思いますが例えば直流発電・送電で全系統を構成しなおす、とかであればC先生のおっしゃる±5Hzどころか何でもアリになるかも。

でも、三相交流の仕組みは数百年では覆りませんよ。

投稿: 機械屋 | 2007年3月24日 (土) 23時25分

肩入れされてると言われるのを承知で一方を税制で優遇するしかありませんね。
そこまでするメリットは分かりませんが。

投稿: ファン | 2007年3月24日 (土) 23時46分

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